当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 中間テストも終わって解放されたから、日曜だし友だちと横浜で遊びたおしてきた。

 うちのあたりはほぼ住宅街だし、駅の近くに店があっても基本観光客向け。

 大きい駅に行かないとなかなかチェーンの服飾店ないんだよね。

 今日は夏物買えたし、最新バージョンのプリも撮れたし満足満足。

 夕ごはんを食べていると、お父さんが楽しげに話しはじめた。

「聞いてくれ。響司くんが予選通過したんだよ!」

「へー。そうなんだ」

 私は冷やし中華のハムを食べながら生返事する。

「あら。葉月ったら、淡白ね。もう少し喜んでもいいじゃない。響司くん寂しがるわよー? お友だちなのにおめでとうの一言ももらえないなんて」

 お母さんはほほに手をあててため息をつく。

 そりゃあ予選通過はおめでたいことなんだけど、響司くんならそれくらい当たり前にできるでしょ。

 私がどんなにがんばっても立てないところに、響司くんは普通に立っている。

 やっぱりちょっと、くやしい。 

「いや、寂しくはないかもしれないぞ。響司くんの彼女が聴きに来てたから。葉月たちと同じ学校なんだって? 小さい頃はウィーンの劇場近くに住んでいたって言うから、懐かしくて話が弾んじゃったよ。ぼくが留学してた頃に通っていたパン屋が、今もあるみたいで……」