当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「キョウジ、お昼寝のときあたしが子守唄うたうって、昨日約束したでしょ。ひざまくらしてしんぜよう」

「……え?」

 一瞬、言葉の意味が理解できなかった。

「ほら、くるしゅうないぞー」

 ぽんぽん、と自分の膝を叩く華音。

 ハードルが高すぎる。

「い、いや、たしかに約束したけど、誰も近くにいないんだからそこまで演技する必要ない、よね。うたうだけで、ひざまくらまでは約束に含まれてないっていうか…………」

「なんで?」

「なんでって……!」

 女の子って、友だちにひざまくらするものなのか?

 日本ではしなくても、オーストリアだと普通なんだろうか。

 どうしたらいいんだ、こういうとき。

「ぼ、僕だって男なんだから、華音はもっと警戒したほうがいいよ」

「キョウジにしかしないヨ」

 即答だった。

 華音の言葉には迷いがない。