当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 昼休みになり、華音がお弁当を持って僕を誘いに来た。

 華音とお昼を過ごすのは、もう僕の日常になっていた。

 最初はかなり緊張したけど、いまでは音楽の話をしながらご飯を食べるのが楽しい。


「最近すごく日差しが強いね。目が痛いや」

 手をひさしにして空を見上げる。

 衣替えが終わって夏服になった。

 薄手の半袖シャツでも、少し外にいただけでじっとりと汗が浮いてくる。

「今からこんなに暑いなら、八月はどれだけ暑くなるんだろう」

Papa(パパ)は去年ずっと、「ゆでダコになっちゃう」って言ってたヨ」

「あはは。わかる。なんか、茹でられてる気分になる」

 晴れた日の定番となっている、校庭の木陰に座った。
 
 座ったまではいいんだけど。
 
 華音が、僕のすぐ隣に腰を下ろしてきた。

 いつもよりも近くて、肩が触れる。

 一瞬、温かくて柔らかな感触が、ブラウス越しに伝わってきた。