当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 舞台袖に戻ると、大地先生がねぎらいの言葉をくれる。

「よくがんばったね」

「ありがとう、ございます」

「結果発表までは休憩してくるといいよ。併設のカフェがあるだろう」

「はい」

 ロビーに出ると華音が息を切らせて走ってきた。

「キョウジ!」

「華音」
 
 華音は足元まであるロングワンピースを着ていて、いつもより大人っぽく見える。

「来てくれてありがとう」

「うん、来た」

 会いたかった。

 会って話したいことが、たくさんあったはずなのに。

 うまく言葉が出てこない。

 沈黙をやぶったのは華音だった。

 僕の袖をひいて、オープンカフェを指す。
 

「あそこはいろ? ここのKäsekuchen(ケーゼクーヘン)、おいしいって聞いたよ」

「うん。行こうか」