当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 華音は、もう終わりにするべきなのかなって、体育祭の日に言っていた。

 そんな華音に、来てほしいとお願いした。

 華音には、僕のわがままを叶える義理なんてない。

 僕らは、形だけの恋人なんだから。
 
 静かに息を吐いて、大地先生に教わった全てを音にする。

 時間にしてほんの数分なのに、何時間にも感じる。

 最後の一音を弾き終えたとき、ドッと汗が出た。

 ミスなくできただろうか。
 勝てるだろうか。

 お辞儀をして顔を上げたとき、客席一番うしろの列に華音の姿を見つけた。


 ああ、来てくれたんだ。

 泣きたくなるくらい嬉しい。