当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 華音のお弁当はホイルシートに包まれたサンドイッチだ。

 添えてある小さめの弁当箱には、ミニトマトやオムレツ。

 それもただのオムレツではなくて、刻んだ緑黄色野菜が見え隠れしている。

 食べやすいようピックでさしてあった。

 華音は水筒を傾けてカップ形のフタにコーヒーをそそいで飲んでいる。

 なんだかすごく手が込んでいて、オシャレな昼食だ。

 世の中の恋人って、こういうときに何を話すんだろう。

 お弁当の会話なら、少しは華音のことわかるかな。

「美味しそうだね」

「ありがと。キョウジのも美味しそ」

「どれもおいしいけど、だし巻きたまごが一番かな。母さんいわく、父さんとの初デートのときお弁当に入れたら、食べて即プロポーズしてきたんだって」