当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 初田さんは続ける。

「そして闘病生活の末に、ネルさんはわたしの仕事を手伝いたいと言い出しました。高校卒業後に医療事務の資格を取って、クリニックを助けてくれました。そして五年前、わたしたちは籍を入れて夫婦となりました」

「それが、ミツキちゃんのママ?」

「そのとおり」

 ミツキちゃんママは、わたあめみたいにほんわかしていて、優しい人。

 レオのお迎えでたまに会うけど、おやつにどうぞって、いちごアメを分けてくれる。

 元気そうに見えるのに、あたしと同じくらいの年頃に病気だったなんて、想像つかない。

 ううん。
 治療を頑張ったから、今そう見えないくらいに元気になったんだ。