当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 なんとなく、水を受け取る。

「えと、ミツキちゃんのパパ、danke(ダンケ)

「はい。初田ミツキのパパです。こんにちは、レオくんのお姉さん。具合が悪いのなら、救護室に行くといいですよ」

「あ……いえ、ええと」

 なんて説明したらいいんだろう。

 迷っていると、初田さんは言った。

「もしかして、響司くんとケンカでもしましたか?」

「キョウジを、知ってるの?」


 初田さんは人差し指を左のこめかみのあたりにトントンして笑う。

「先月、響司くんに、プレゼントを買うお店を紹介してほしいとお願いされまして。友人のセレクトショップに案内しました」

 とっさに、キョウジからもらったバレッタにふれる。

「響司くんは、ミツキが通っている音楽教室の先輩なんですよ」

「そう、なの」

 意外なところでつながりがあってびっくり。