当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー


「なら、葉月ちゃんはどうするんだ?」


 ゴミ箱に空き缶をシュートして、沢くんに右手を差し出す。

「私、最後までこの嘘を吐き続けるわ。『沢くんに一目惚れした葉月』でいるの。沢くんにも原因の一端はあるんだから、共犯を続けてよね」


 沢くんは私の顔をじっと見て、同じように牛乳パックをゴミ箱に投げた。

 机から降りて、深呼吸する。

「そうだな。俺も、響司の優しさを無碍にしたくない」


 私たちは共犯者として、手を取り合った。

 響司くんと華音ちゃんを傷つけないように。

 一目惚れした恋という、嘘を吐き続ける。