当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「……あはは。バカだね。沢くんも」

()って、なんだ。()って」

 座ったまま目だけでこっちを見た沢くんに、私も秘密にしていたことを打ち明ける。 

「そのまんまの意味。私も、嘘吐いてたの」

 なんど思い返しても、ばかな自分にビンタしたくなる。

「私ね、響司くんに逆告白してほしくて、『沢くんのこと好きになっちゃった。協力してくれるかな』って言ったの。たぶん、沢くんが嘘吐いたのと同じようなタイミングで。結果は沢くんも知っての通り」

 沢くんは目を丸くして、それから視線をそらした。

「だから、響司はあんなに協力してくれてたのか……。ほんと、優しすぎるよな」

「そうだね。それに、謝らなくてもいいよ。……きっかけ作ったのが沢くんでも、付き合うって決めたのは響司くんと華音ちゃん本人の意志だもん。どんな形で出会っても、きっと二人は付き合ってたよ」


 負け惜しみかもしれない。

 でも、そう思わないとやってられないじゃない。

 どうしたって、響司くんと華音ちゃんは惹かれ合う。
 変な工作をしなくたって、私が入り込む余地なんてなかったんだ。