当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 机に座って、もう一口ジュースを飲む。

 沢くんも空いた机に座って、牛乳パックにストローを刺す。

「……悪かったな。ジュースが好きとか嫌いとか、そういう細かいことわかるくらいには、響司と葉月ちゃん親しかったんだよな」

 らしくない、低いトーンで沢くんが言った。

「なに、急に」

「俺さ。響司と阿部を引き合わせたくて、あのダブルデートセッティングしたんだ。響司に、『葉月ちゃんのこと好きになったから、仲良くなる機会がほしい。ダブルデートしよう』って嘘吐いて」

 初耳だった。

 びっくりするよりは、ストンと腑に落ちた。


 私が嘘ついたのと同じタイミングで、沢くんも対になる嘘を吐いた。

 響司くんは私たちの嘘をまるごと信じて、必死に、私たちの仲を取り持とうとしていた。

 私は大事なこと何も言わなかったのに、気持ちに気づいてくれない響司くんを責めるようなこと考えてた。

 なんか、バカみたい。
 響司くんに申し訳なくて、泣きたくなる。