当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 教室には私と沢くんしかいなくて、声がいやに大きく響く。

 窓の向こうからは、響司くんが弾く悲愴が聞こえてくる。
 
「炭酸が嫌いなら、はなからそう言えばいいじゃん。そしたら別のを買ってきたのに」

「響司くんが買ってきてくれると思ってたんですー」

 沢くんには、私が響司くんのこと好きだってバレてる。

 嘘吐いても意味ないからぶっちゃけちゃう。

「うっわめんどくせ。響司に空気読みゲームさすなし。自分の彼女いる場面で他の女にあれこれ尽くす男はいねーよ」

「そりゃ、そうだけど……」

「自分に置き換えりゃわかるだろ。自分の恋人に『あたしのほうが仲良しだけど?』って遠回しなムーブかましてくる女がいたら、嫌じゃね?」

「処すね」

 自分でやったことなのに、他の人にされたらやだなぁ。