当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「そんな気ぃ使わなくていいって言ったのに。まあいいや……くれるってんならもらう。響司と阿部は?」

「僕は母さんの弁当で十分だから」

「あたしも、おなかいっぱい。キュウリは、サワが食べるといいよ」

 文句を言いつつも、沢はキュウリをつまんでほおばった。

 葉月は笑い転げる沢を横目でにらみながら、ウインナーやミートボールが入った弁当を食べ始める。

「あ! ちょいまて。俺にはキュウリ出しといて、自分は何食ってんだよ」

「ミートボール」

「なんでだよ!」

 沢の笑い声がしばらく続き、葉月のローキックが炸裂する。

 リベンジを誓った葉月によって、キュウリ弁当は週末まで続いた。