当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 
 今日は月曜。
 月曜は行きつけのスーパーのパン特売日だ。
 買いだめしとこう。
 冷凍庫に放り込んどきゃ日持ちするし。


 買い物かごにワゴンセールのパンを放り込んでいると、ふいに声をかけられた。

「あれ、沢くん?」

 ふり返ると葉月ちゃんがいた。
 手には新作クッキーとリンゴジュースを持っている。

「おっす」
「沢くん。そんなにパンばっか買って。おやつ?」
「いんや、一週間分の弁当と朝飯と夕飯」

 形だけの恋人だから、日常会話となんにもかわらないやり取りだ。

 葉月ちゃんは俺のさげるカゴをのぞきこんで、口元を引きつらせた。

「…………え? それ本気で言ってる? ギャグじゃなくて? 三食ぜんぶ菓子パンなの?」

「パンってお湯沸かさなくても食えるから、カップ麺よりタイパいいと思わね? 冷食も、レンジ使うと電気代かかるし」
 
「えっと……おうちのひとに頼んで、せめておかず一品くらいは作ってもらったら?」


 ものすごく言いにくそうに聞いてくる。

 昨日一緒に昼飯食ったときも同じようなこと言ってたな、そういや。

 中学までは給食だったから、だれかに飯のことでこんなふうに言われたことはなかった。

 一般的にはおかずもつけるのが普通なのか。