当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「寝過ごすなよ親父ー。寝起き悪いじゃん」

「今しがた起きたばっかのお前に言われたかねーわ。その頭、竹ぼうきかよ」

 親父は俺の頭を指しながら笑う。

 言われて頭に手をやると、触ってわかるくらいには盛大にはねていた。

「いや、これはあれだ。今流行りのセットだ」

「やっぱアホじゃねーか。とっととシャワー浴びて直せ」

「へーい」

 弁当を平らげてから、仕方なくシャワーを浴びて寝癖を直した。

 俺が脱衣所から出ると、親父は財布から万札を一枚出す。

「これ今週分の生活費な。無駄遣いすんなよバカ息子」
「おー、サンキュー」

 俺はそれを財布にツッコんで、スニーカーをつっかける。

「ちょっと出てくる」
「おー、いってこい。怪我すんなよ」

 親父は小脇に枕をかかえて応えた。