華音さんが顔を上げた。
深い翠の瞳が涙で濡れている。
「…………トーマ、くん。ねえ、あたし、応援できない、でも、邪魔者にもなりたくない、サワにきらわれたく、ない。いま、あの二人が付き合うってほうこくしてきても、おめでとなんて、言えない」
華音さんの声は震えていた。
「だから、あたしたち恋人のふり、しよう。そしたら、邪魔者に、ならなくてすむ。だって、そうでしょ。恋人いるひとが他の人に恋すること、ないんだから」
支離滅裂なことを言っているのは、きっと華音さん本人も自覚している。
めちゃくちゃな提案なのに、僕は手を伸ばしていた。
こうすることでしか、恋心を葬れないと思った。
「うん。そうしよう。僕も、沢と葉月のこと、邪魔したくない」
僕らのこの気持ちは、葉月にも沢にも勘付かれちゃいけない。
二人の恋路の枷になってしまわないように、お互いを隠れ蓑にする。
こうして僕らは、嘘吐きな恋人になった。

深い翠の瞳が涙で濡れている。
「…………トーマ、くん。ねえ、あたし、応援できない、でも、邪魔者にもなりたくない、サワにきらわれたく、ない。いま、あの二人が付き合うってほうこくしてきても、おめでとなんて、言えない」
華音さんの声は震えていた。
「だから、あたしたち恋人のふり、しよう。そしたら、邪魔者に、ならなくてすむ。だって、そうでしょ。恋人いるひとが他の人に恋すること、ないんだから」
支離滅裂なことを言っているのは、きっと華音さん本人も自覚している。
めちゃくちゃな提案なのに、僕は手を伸ばしていた。
こうすることでしか、恋心を葬れないと思った。
「うん。そうしよう。僕も、沢と葉月のこと、邪魔したくない」
僕らのこの気持ちは、葉月にも沢にも勘付かれちゃいけない。
二人の恋路の枷になってしまわないように、お互いを隠れ蓑にする。
こうして僕らは、嘘吐きな恋人になった。




