当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 カーテンの隙間から射し込む日差しで目がさめた。

 スマホを見ると9:00と表示されている。

「やべ、遅刻……!」
 
 布団から跳ね起きて、Tシャツを脱ぎ捨て、投げてあったワイシャツに袖を通したところで気づいた。

「あ、今日代休じゃん」

 昨日体育祭だったから、今日は休み。
 バスケ部の活動もなし。

「焦って損したー。二度寝しよっかな」

 冷蔵庫から牛乳を出してコップにそそいでいると、アパートの外階段から音が聞こえてきた。

 錆びた鉄階段を一段とばしで駆け上がる足音はうちの玄関前で止まった。

 親父だ。
 ごそごそと鍵を探す音が聞こえたから、いったん牛乳をテーブルに置いて鍵を開けた。