当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「……これどうぞ。うち、おばあちゃんが農家やってて、この時期野菜が有り余ってるの。全部食べたら太っちゃうし、手伝ってよ」

 そう言って、お弁当のおかずを差し出す。

 沢くんは「……ふーん」と気のない返事をする。
 でも。

「じゃ、一個だけもらうわ」

 そう言って、あさ漬けをひとつ、ひょいとつまんだ。

「しょっぱ」

「どうせこのあとバトンリレーで汗かくでしょ。ちょうどいいじゃない」

「塩対応すぎね?」

「もらっといて文句を言わないで」

 そんな憎まれ口を叩き合いながら、私たちは一週間限定で、形だけの恋人になった。