当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「……沢くんってスナオって名前なのに、思ってたよりひねくれてるね」

「そっちも、みんなの前にいるときと俺の前じゃ別人じゃね?」

「そんなことないもん」

 沢くんとの会話を中断して、お弁当の続きを食べる。
 
 お母さんてば、山形のおばあちゃんが送ってきたからってキュウリ入れすぎじゃない?

 おかずの器の半分を緑色が占めてるんだけど。

 ちらっと沢くんを見ると、パンを食べ終えてラップをクシャクシャに丸めている。

 他に何か食べる様子はない。

「沢くんパン一個で足りるの? ちゃんと野菜やおかずも食べなよ」

「野菜ぃ? 惣菜買うとプラゴミ出るから、仕分けめんどくせーじゃん」

「お腹すかないの? バスケ部なのに私よりも食事量少ないって、正気?」

 もしかして沢くんって、いっつもパンだけ?
 私ですら、そんなんじゃ足りないよ。せめて一品くらいはおかずがないと。