当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 息が詰まった。

 否定も肯定も言葉にならない。

「今のままだとさ、葉月ちゃんはやりにくいだろ。いくら幼馴染でも、響司には彼女がいる。響司の近くに居ようとするとまわりの目があるし」

「……そうだね」

 全部見透かされてたんだ。

 気づいたのは沢くんだけ?

 それとも、ほかの誰かも気づいてる?

 胸の奥がざわざわする。

 沢くんは飲み干した牛乳パックを吹いてふくらませて、空を見る。
 
「俺は響司の友だちで、阿部の幼馴染。葉月ちゃんは俺の彼女って肩書きで四人でいるなら、葉月ちゃんが響司の近くにいても変に見えないだろ」

 さらっと言う。
 あまりにも自然で、まるでそれが一番合理的な選択みたいに。

「……そんなことして、沢くんになんのメリットがあるの? 彼女ほしいわけじゃないでしょ?」

 沢くんは少しだけ目を細めた。

「別に。なんか、必死になってるの……見てるのしんどい」