当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 体育祭の昼休み。
 私は沢くんに誘われて、校舎裏の階段でお弁当を広げていた。

 まわりのみんなも「ヒューヒュー」なんてはやし立ててくれちゃってさ。

 沢くんはスーパーの半額シールがついたホットドッグにかぶりつき、自販機で買ってきた牛乳にストローをさす。

「で、さっきの話なんだけど、どうする?」

 軽い調子のまま切り出してくる。

 このあとカラオケでも行く? くらいに軽い。

 一応、お付き合いの話だよね?

「なんで私なの?」

 私はさっきから感じていたことを聞いた。

「たぶん沢くん、私のこと友だちくらいにしか思ってないでしょう? なんで一週間お試しで付き合おうなんて言ったの?」

 一瞬だけ、沢くんの手が止まる。

 けれどすぐに、いつもの調子で肩をすくめた。

「案外疑り深いんだな。これは葉月ちゃんのための提案でもある」

 沢くんは少しだけ声のトーンを落とした。

「葉月ちゃん、響司のこと好きだろ?」
「……っ!」

 なんで、ばれてるの? この学校で、誰にも言ったことないのに。