当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 華音は大丈夫かな。

 華音を見ると、目が合った。

 翠の瞳が不安定に揺れている。

「大丈夫?」

 何が、とは言わずに聞くと、華音はなにか言いかけて言葉を飲み込んだ。

「あの、ね……。ううん。……キョウジ、あたしたちも行こ」  

「そうだね、行こう」


 昼休みになっても、華音の口数は少なかった。

 話しかけても上の空で、ずれた返事をする。

 一緒にお弁当を食べていたレオにも「ねーね、おねつあるの? ぼーっとしてる」と言われてしまうくらいだった。


 午後の競技も滞りなくすすみ、体育祭が終わった。