当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー


 華音さんはひざをついて、砂をにぎりしめる。

 心が嵐のように荒れているのに、今日は腹立たしいくらいの快晴で、海鳥の鳴き声も響いている。

 海水浴客たちの楽しげな笑い声が、遠い。

 なにやってるんだろう、僕らは。

 風が吹き抜けていく。

 華音さんの前にひざをついて目線を合わせる。

 僕も同じ気持ちだ。

 沢がすごく嫌な奴だったら、「僕を選んで」と言えたかもしれない。

 こんな醜いことを考えてしまう僕自身が、いちばん嫌な奴だ。