当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 話している間に他の選手、そして沢が葉月と並走してゴールした。

 そちらに目をやると、沢が係にカードを渡すところだった。

「【好きな人】ですね。はい、確認しました! 三番のフラッグに並んでください」


 沢は手の甲でひたいの汗をぬぐいつつ、僕に片手を上げて笑う。

「はははっ。響司のほうが早かったな。やるじゃん。約束通り、あとで飲み物おごるからな。響司はコーヒーでいいんだっけ」
「あ、うん」


 つい反射的に答えてしまったが、それ以上何も言えなかった。
 

 華音も二人を見て、無言になった。