当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

「カードを確認します」

「これです」

 係の生徒にカードを渡す。

「【髪が長い人】確認しました! 一番のフラッグへどうぞ」

「華音。一位だって。よかった……」

「よくなーい!!」

 僕が言い終える前に、華音のパンチが飛んできた。

 とっさによけた拳が空を切る。

 華音はむくれてふぐみたいになっている。

「え、なんで怒ってるの」

「たばかったな!」

 またサムライみたいなことを言い出した。

 まるで僕がだまし討ちしたみたいに聞こえる。

「たばかるって……、カードを引いて真っ先に浮かんだのが華音だったから。だめだった?」
「……っ!?」

 華音の顔が一瞬で真っ赤になる。

「……だ、だめじゃ、ない……けど」


 両手でほほを抑えてうろたえる華音。
 だんだんと、華音の語尾が小さくなっていく。

「きたい、したのに」