当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 葉月はゆっくりと立ち上がって、一位のフラッグのほうに歩き出す。

「当馬くん、女子のレースが終わったらすぐ男子のレースだから、早く戻って」
「はい」

 先生に言われて、待機列に戻った。

 もといた場所に座ると、沢がつついてくる。

「響司。どうかしたのか、葉月ちゃん。なんかずっと座り込んでたみたいだけど」
「ちょっと頑張りすぎたみたいで。もう大丈夫」

 葉月のためにも、さっきのことは心にしまっておこう。
 きっと、他の人には聞かれたくないことだから。