当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 ──友だち、か。

 葉月が好きなのは沢で、僕は友だちにすぎない。

 わかっているけど、改めてこんな形で突きつけられるとちょっと切ない。

 ……応援するって決めたんだから、傷つくのはおかしいんだ。
 いいかげん切り替えよう。 

 葉月は体操着の胸の部分をおさえ、荒い呼吸をくりかえす。

 僕の腕を掴んだままの右手は、汗びっしょりで、震えていた。

「葉月、大丈夫?」

 葉月はうっすら目に涙を浮かべて、無理やり笑おうとして、失敗した。

 地面を見下ろしたまま、ぽつりとこぼす。

「あーあ、……ま、けちゃった、な」
「負けた? 一位になったのに、何言ってるのさ」