当て馬の矜持 ー嘘吐きな僕らの協奏曲《コンチェルト》ー

 言わんとしていることを察した。

 やっぱり、華音さんは沢のこと好きなんだ。

「あのふたり、たぶん両思いだね。じかく、してない」

「……そうだね」

 ショルダーバッグからビニールシートを出して広げる華音さん。

 その手は震えている。

「…………あたし、六歳のときから、一緒にいたのに。一目ボレのほうが、ずっと、つよいのかな」

「僕にもわからない。でも、過ごした長さなんて、なんの力もなかった」

 僕らは、恋愛ドラマやなにかで言うなら邪魔者、当て馬、負け犬、選ばれることのないもの。

「葉月さんがすごくやな子なら、あたしは、サワに言えたのに」