プロローグ『風生む』
歩くよ。進むよ。ありのままの私を綴れるように。
『風影る』
居場所。
居場所ってなんだろう。
本当に笑える場所。
落ち着く場所。
たのしい場所。
友達の顔色をうかがって、思ってもないことに共感して、無理に笑顔を作る。
そこは、私の居場所なのだろうか。
たくさんの人は、そこが居場所ではないと思っているのだろう。
でも、私には、そこしかなかったんだ。
どんなに心が折れそうでも、必死にそこに手を伸ばし続けた。
自分にバツをして、何度も何度も模範解答を写した。
私も、本当に笑えて、本当の気持ちが吐き出せる居場所が欲しかった。
どうしようもなく、その場所を望んだ。
もし、本当の私でも生きていける場所があるなら。
そんな中、駆け込んだこの場所は、間違いなく、私の「居場所」となった。
最初はこの埃の匂いに慣れなくて。
だけど、誰もいないから静かで。
顔色なんて、うかがう必要もない。
楽だった。
ここでの空気は温かくて。
ここで見る空は眩しくて。
ここにいる時間が大切で。
ここで会う君が大好きで。
一生ここにいたいと思うほど。
私には息ができる場所だった。
でも、そんな願いは叶うはずもなく。
どんどん崩れていく。
ここで過ごす度、床の軋みが、扉の立てる音が、大きくなっていく気がしたの。
私たちの出逢うきっかけとなったあのお手紙も。
二人で綴ったこの思い出も。
だんだん好きになったこの香りも。
やっぱり、私たち、真逆の方向にいるんだね。
君の書く文字が、ずっと忘れられない。
細くて、鋭くて、でも優しいその字が。
その字を書くしっかりとした大きな手が。
分かってるよ、永遠なんてないって。
時計の針の音は止まらないって。
終わらない物語なんてないって。
笑ってもいい場所。
息ができる場所。
いつの間にか好きになった場所。
それが、この場所だった。
潮風が入る、窓際のあの席が好きだった。
私の居場所は、君だった。
私の好きな人も君のまま。
ねえ、もう一度だけ、逢いたいよ。
たとえ二度と君と会えなくても、私は君を想い続けてしまうから。
ひんやりとした木の机の傷を撫でる。
温もりが、さっきまで君がそこにいたような温かさが伝わる。
冷たくて、寒くて、そんな私の心を、君と綴る言葉は、夏の眩しい光のようにほどいてくれた。
その光の中に、笑い声と懐かしい匂いが満ちていた。
『風光る』
僕のそばで笑ってくれる人が好きだった。
僕を居場所にしてくれる人が好きだった。
でも、僕の居場所はなかった。
僕は、だんだん汚れて、いつの間にか周りに人はいなくなった。
僕も欲しかった。
みんなみたいに笑える場所が。
落ち着ける場所が。
たのしい場所が。
だけど、僕にはそれを創る力がなかった。
必死に孤独に耐え続けた。
僕にも、愛しくて温かい居場所が欲しかった。
どうしようもなく、その場所を願った。
もし、本当の僕でも生きていける場所があるなら。
だけど、君が来てからここは、間違いなく、僕の「居場所」へと変わった。
最初は隣の君の匂いに慣れなくて。
だけど、静かだから君の声だけが聞こえて。
離れていった人なんてどうでも良くなって。
楽だった。
ここでの空気は温かく感じて。
ここで見る空は眩しく見えて。
ここにいる時間が大切になって。
ここで会う君が大好きで。
一生ここにいたいと思うほど。
僕が望んだ場所だった。
でも、神様は意地悪だ。
僕の願いはどんどん崩れていく。
君と会う度、床の軋みが、扉の立てる音が、大きくなって。
君と出逢うきっかけとなったあのお手紙も。
二人で綴ったこの思い出も。
だんだん好きになった君の声も。
やっぱり、僕たち、真逆の方向にいるんだね。
君の書く文字が、ずっと忘れられない。
丸くて、かわいくて、たまに雑で、でも温かいその字が。
その字を書く、柔らかくて華奢な手が。
分かってるよ、永遠なんてないって。
時計の針の音は止まらないって。
終わらない物語なんてないって。
笑ってもいい場所。
息ができる場所。
いつの間にか好きになった場所。
それが、君の隣だった。
潮風が入る、窓際の君の隣の席が好きだった。
僕の居場所は、君だった。
僕の愛する人も君のまま。
ねえ、もう一度だけ、逢いたいよ。
たとえ、二度と会えないと分かっていても、僕は君を愛し続けるよ。
ひんやりとした木の机の傷を撫でる。
温もりが、さっきまで君がそこにいたような温かさが伝わる。
冷たくて、寒くて、そんな僕の心を、君と綴る言葉は、夏の眩しい光のようにほどいてくれた。
その光の中に、笑い声と懐かしい匂いが満ちていた。
『雨落花』
あの日、私が落とした涙は、まるで桜を落とす、醜い雨のようで。
みんなから嫌われるものだった。
咲いたばかりの花を散らす残念な存在。
その涙が、私に心を取り戻させた。
あの日、君が零した涙は、まるで砂漠に降る、潤いの雨のようで。
僕に幸せを与えるものだった。
枯れていた土地に一輪の花を咲かせる奇跡の存在。
その涙が、僕に心を教えてくれた。
歩くよ。進むよ。ありのままの私を綴れるように。
『風影る』
居場所。
居場所ってなんだろう。
本当に笑える場所。
落ち着く場所。
たのしい場所。
友達の顔色をうかがって、思ってもないことに共感して、無理に笑顔を作る。
そこは、私の居場所なのだろうか。
たくさんの人は、そこが居場所ではないと思っているのだろう。
でも、私には、そこしかなかったんだ。
どんなに心が折れそうでも、必死にそこに手を伸ばし続けた。
自分にバツをして、何度も何度も模範解答を写した。
私も、本当に笑えて、本当の気持ちが吐き出せる居場所が欲しかった。
どうしようもなく、その場所を望んだ。
もし、本当の私でも生きていける場所があるなら。
そんな中、駆け込んだこの場所は、間違いなく、私の「居場所」となった。
最初はこの埃の匂いに慣れなくて。
だけど、誰もいないから静かで。
顔色なんて、うかがう必要もない。
楽だった。
ここでの空気は温かくて。
ここで見る空は眩しくて。
ここにいる時間が大切で。
ここで会う君が大好きで。
一生ここにいたいと思うほど。
私には息ができる場所だった。
でも、そんな願いは叶うはずもなく。
どんどん崩れていく。
ここで過ごす度、床の軋みが、扉の立てる音が、大きくなっていく気がしたの。
私たちの出逢うきっかけとなったあのお手紙も。
二人で綴ったこの思い出も。
だんだん好きになったこの香りも。
やっぱり、私たち、真逆の方向にいるんだね。
君の書く文字が、ずっと忘れられない。
細くて、鋭くて、でも優しいその字が。
その字を書くしっかりとした大きな手が。
分かってるよ、永遠なんてないって。
時計の針の音は止まらないって。
終わらない物語なんてないって。
笑ってもいい場所。
息ができる場所。
いつの間にか好きになった場所。
それが、この場所だった。
潮風が入る、窓際のあの席が好きだった。
私の居場所は、君だった。
私の好きな人も君のまま。
ねえ、もう一度だけ、逢いたいよ。
たとえ二度と君と会えなくても、私は君を想い続けてしまうから。
ひんやりとした木の机の傷を撫でる。
温もりが、さっきまで君がそこにいたような温かさが伝わる。
冷たくて、寒くて、そんな私の心を、君と綴る言葉は、夏の眩しい光のようにほどいてくれた。
その光の中に、笑い声と懐かしい匂いが満ちていた。
『風光る』
僕のそばで笑ってくれる人が好きだった。
僕を居場所にしてくれる人が好きだった。
でも、僕の居場所はなかった。
僕は、だんだん汚れて、いつの間にか周りに人はいなくなった。
僕も欲しかった。
みんなみたいに笑える場所が。
落ち着ける場所が。
たのしい場所が。
だけど、僕にはそれを創る力がなかった。
必死に孤独に耐え続けた。
僕にも、愛しくて温かい居場所が欲しかった。
どうしようもなく、その場所を願った。
もし、本当の僕でも生きていける場所があるなら。
だけど、君が来てからここは、間違いなく、僕の「居場所」へと変わった。
最初は隣の君の匂いに慣れなくて。
だけど、静かだから君の声だけが聞こえて。
離れていった人なんてどうでも良くなって。
楽だった。
ここでの空気は温かく感じて。
ここで見る空は眩しく見えて。
ここにいる時間が大切になって。
ここで会う君が大好きで。
一生ここにいたいと思うほど。
僕が望んだ場所だった。
でも、神様は意地悪だ。
僕の願いはどんどん崩れていく。
君と会う度、床の軋みが、扉の立てる音が、大きくなって。
君と出逢うきっかけとなったあのお手紙も。
二人で綴ったこの思い出も。
だんだん好きになった君の声も。
やっぱり、僕たち、真逆の方向にいるんだね。
君の書く文字が、ずっと忘れられない。
丸くて、かわいくて、たまに雑で、でも温かいその字が。
その字を書く、柔らかくて華奢な手が。
分かってるよ、永遠なんてないって。
時計の針の音は止まらないって。
終わらない物語なんてないって。
笑ってもいい場所。
息ができる場所。
いつの間にか好きになった場所。
それが、君の隣だった。
潮風が入る、窓際の君の隣の席が好きだった。
僕の居場所は、君だった。
僕の愛する人も君のまま。
ねえ、もう一度だけ、逢いたいよ。
たとえ、二度と会えないと分かっていても、僕は君を愛し続けるよ。
ひんやりとした木の机の傷を撫でる。
温もりが、さっきまで君がそこにいたような温かさが伝わる。
冷たくて、寒くて、そんな僕の心を、君と綴る言葉は、夏の眩しい光のようにほどいてくれた。
その光の中に、笑い声と懐かしい匂いが満ちていた。
『雨落花』
あの日、私が落とした涙は、まるで桜を落とす、醜い雨のようで。
みんなから嫌われるものだった。
咲いたばかりの花を散らす残念な存在。
その涙が、私に心を取り戻させた。
あの日、君が零した涙は、まるで砂漠に降る、潤いの雨のようで。
僕に幸せを与えるものだった。
枯れていた土地に一輪の花を咲かせる奇跡の存在。
その涙が、僕に心を教えてくれた。


