「王子様、ファイトー!」
「いけいけ、王子様!」
今日も朝から朝陽先輩の応援する声が自転車置き場まで聞こえてくる。
朝練を何時からやっているのかわからないけど、毎日たくさんの人が朝から応援している姿が目に入る。
その中には、昨日朝陽先輩に告白していた女子生徒もいた。
きっとあの人は今でも朝陽先輩のことが好きなんだろう。
「せっかくだから見に行ってみようかな」
時計を見ると、いつもより早く学校に到着していた。
教室に行っても特にやることはないし、悠人もレギュラーに選ばれるかもしれないって言ってたからな。
「王子先輩、頑張ってくださいー!」
「今日も王子様かっこいいね!」
「さっきのシュートなんて、キラキラしてたよ!」
体育館に近づくと、さらに声が大きく聞こえてくる。
それに王子様呼び以外にも、ちゃんと王子先輩って呼んでいる人もいた。
今まであまり興味がなかったから、名前の呼び方まで耳に入っていなかったのだろう。
そんな女子生徒たちの後ろからひょこっと僕は顔を出す。
これでも身長はぎりぎり170cmはあるから、女子生徒よりは少しだけ高い。
「悠人、走れ!」
「はい!」
悠人は必死に走ってボールを追いかけていた。
初めてバスケ部の練習を覗いてみたが、思ったよりも朝からハードな練習をしているようだ。
小刻みにキュキュと鳴り響く音がどこか心地よく感じる。
「朝陽先輩はどこだろう……」
似たような格好をしているし、ほとんどの部員が身長も高いから、中々見つけられない。
「キャー!」
「王子様、ナイシュー!」
突然、周囲の歓声が大きくなり盛り上がる。
きっと今ボールを投げた人が朝陽先輩なんだろう。
僕はジーッと朝陽先輩だと思う人を見つめていると、一瞬だけ目があったような気がした。
「王子先輩、今こっち見た!?」
「見た見た!」
「練習中にこっちを気にすることはなかったのにね!」
周囲の女子生徒たちは嬉しそうに話していた。
行ったことはないけど、メンズアイドルの出待ちにいるような気分だ。
こんな中でも練習に集中できるバスケ部員の人たちはすごい――。
「あっ、直ー!」
……いや、練習に集中していないやつが一人いた。
僕の存在に気づいたのか、悠人が勢いよく走ってきた。
「おい、試合中だろ!」
僕はつい声を出して、追い払うように手を動かす。
ただ、それが周囲の視線を集めてしまった。
「体験入部に来たのかな?」
「バスケ部の子?」
「それなら私たち邪魔だよね」
女子生徒たちは入り口から少し離れると、一本の道筋ができてしまった。
ああ、これは逃げられないやつだ。
「練習を見にきたのか?」
悠人は僕の方まで来ると、いつものように肩を組む。
「早く練習に戻れよ!」
まるで肘置きのような扱いだ。
「大丈夫、もう終わるからさ!」
悠人は明らかにそうは言っても、視線は俺に向けられるからな。
この間一緒にコロッケを買いに来た友達も呆れてこっちを見ている。
「おい、悠人! すぐに戻れ――」
悠人を呼びに朝陽先輩が近づいてくる。
「キャー! 王子様!」
さっきまで道ができていたのに、今では女子生徒たちに押しつぶされそうな勢いだ。
「王子先輩、もう朝練終わりですよね?」
「今日もかっこよかったです! よかったら一緒に校舎まで行きませんか?」
悠人の声もかき消されて、聞こえづらいほどだ。
朝陽先輩は困ったように笑いながら軽く手を振る。
その度に歓声が大きくなり、女子生徒たちは目をキラキラと輝かせていた。
王子様って呼ばれているのは伊達じゃないね。
「ありがとう。でもまだ片付けが残ってるからごめんね」
答え方も嫌味なく断っている。
いつも僕の手からコロッケを食べている姿とは全く別人だ。
その視線が一度だけ僕の方に向いた気がしたけど気のせいかな?
「悠人」
「は、はい!」
「練習中は集中しろよ」
「すみません!」
悠人は慌ててコートへ戻っていく。
「じゃあ、また後でな!」
悠人が先輩たちに笑われながら肩を叩かれている姿を見ると、バスケ部は雰囲気も良いところなんだろう。
朝陽先輩はそれを見届けると、今度は僕の方へ歩いてきた。
「バスケ部の練習を見にくるなんて珍しいね」
「今日は早く着いたので、悠人を見に来ましたね」
「……そうか」
朝陽先輩はいつも通りに笑っていた。
ただ、朝陽先輩はゆっくりと僕に近づき、耳元で話しかけてきた。
「今日も帰りに寄っていくよ」
やっぱり耳元で伝えるぐらいだから、よほどコロッケが好きなんだろう。
それに応援してくれる女子生徒にはバレたくないのだろう。
だけど、その行動が女子生徒たちには、あまり良くなかったようだ。
周囲からの視線が痛い。
「揚げたてを作ってお待ちしてますね」
僕はそう伝えて、逃げるように教室へ向かうことにした。
朝陽先輩は少し首を傾げていたけど、コロッケは揚げたて派じゃないのかな?
「いけいけ、王子様!」
今日も朝から朝陽先輩の応援する声が自転車置き場まで聞こえてくる。
朝練を何時からやっているのかわからないけど、毎日たくさんの人が朝から応援している姿が目に入る。
その中には、昨日朝陽先輩に告白していた女子生徒もいた。
きっとあの人は今でも朝陽先輩のことが好きなんだろう。
「せっかくだから見に行ってみようかな」
時計を見ると、いつもより早く学校に到着していた。
教室に行っても特にやることはないし、悠人もレギュラーに選ばれるかもしれないって言ってたからな。
「王子先輩、頑張ってくださいー!」
「今日も王子様かっこいいね!」
「さっきのシュートなんて、キラキラしてたよ!」
体育館に近づくと、さらに声が大きく聞こえてくる。
それに王子様呼び以外にも、ちゃんと王子先輩って呼んでいる人もいた。
今まであまり興味がなかったから、名前の呼び方まで耳に入っていなかったのだろう。
そんな女子生徒たちの後ろからひょこっと僕は顔を出す。
これでも身長はぎりぎり170cmはあるから、女子生徒よりは少しだけ高い。
「悠人、走れ!」
「はい!」
悠人は必死に走ってボールを追いかけていた。
初めてバスケ部の練習を覗いてみたが、思ったよりも朝からハードな練習をしているようだ。
小刻みにキュキュと鳴り響く音がどこか心地よく感じる。
「朝陽先輩はどこだろう……」
似たような格好をしているし、ほとんどの部員が身長も高いから、中々見つけられない。
「キャー!」
「王子様、ナイシュー!」
突然、周囲の歓声が大きくなり盛り上がる。
きっと今ボールを投げた人が朝陽先輩なんだろう。
僕はジーッと朝陽先輩だと思う人を見つめていると、一瞬だけ目があったような気がした。
「王子先輩、今こっち見た!?」
「見た見た!」
「練習中にこっちを気にすることはなかったのにね!」
周囲の女子生徒たちは嬉しそうに話していた。
行ったことはないけど、メンズアイドルの出待ちにいるような気分だ。
こんな中でも練習に集中できるバスケ部員の人たちはすごい――。
「あっ、直ー!」
……いや、練習に集中していないやつが一人いた。
僕の存在に気づいたのか、悠人が勢いよく走ってきた。
「おい、試合中だろ!」
僕はつい声を出して、追い払うように手を動かす。
ただ、それが周囲の視線を集めてしまった。
「体験入部に来たのかな?」
「バスケ部の子?」
「それなら私たち邪魔だよね」
女子生徒たちは入り口から少し離れると、一本の道筋ができてしまった。
ああ、これは逃げられないやつだ。
「練習を見にきたのか?」
悠人は僕の方まで来ると、いつものように肩を組む。
「早く練習に戻れよ!」
まるで肘置きのような扱いだ。
「大丈夫、もう終わるからさ!」
悠人は明らかにそうは言っても、視線は俺に向けられるからな。
この間一緒にコロッケを買いに来た友達も呆れてこっちを見ている。
「おい、悠人! すぐに戻れ――」
悠人を呼びに朝陽先輩が近づいてくる。
「キャー! 王子様!」
さっきまで道ができていたのに、今では女子生徒たちに押しつぶされそうな勢いだ。
「王子先輩、もう朝練終わりですよね?」
「今日もかっこよかったです! よかったら一緒に校舎まで行きませんか?」
悠人の声もかき消されて、聞こえづらいほどだ。
朝陽先輩は困ったように笑いながら軽く手を振る。
その度に歓声が大きくなり、女子生徒たちは目をキラキラと輝かせていた。
王子様って呼ばれているのは伊達じゃないね。
「ありがとう。でもまだ片付けが残ってるからごめんね」
答え方も嫌味なく断っている。
いつも僕の手からコロッケを食べている姿とは全く別人だ。
その視線が一度だけ僕の方に向いた気がしたけど気のせいかな?
「悠人」
「は、はい!」
「練習中は集中しろよ」
「すみません!」
悠人は慌ててコートへ戻っていく。
「じゃあ、また後でな!」
悠人が先輩たちに笑われながら肩を叩かれている姿を見ると、バスケ部は雰囲気も良いところなんだろう。
朝陽先輩はそれを見届けると、今度は僕の方へ歩いてきた。
「バスケ部の練習を見にくるなんて珍しいね」
「今日は早く着いたので、悠人を見に来ましたね」
「……そうか」
朝陽先輩はいつも通りに笑っていた。
ただ、朝陽先輩はゆっくりと僕に近づき、耳元で話しかけてきた。
「今日も帰りに寄っていくよ」
やっぱり耳元で伝えるぐらいだから、よほどコロッケが好きなんだろう。
それに応援してくれる女子生徒にはバレたくないのだろう。
だけど、その行動が女子生徒たちには、あまり良くなかったようだ。
周囲からの視線が痛い。
「揚げたてを作ってお待ちしてますね」
僕はそう伝えて、逃げるように教室へ向かうことにした。
朝陽先輩は少し首を傾げていたけど、コロッケは揚げたて派じゃないのかな?



