目の前の幽霊は生きとる人間より目がキラキラしとった。
――普通、幽霊って目の輝き死んでるんやないのか?
「お前、ええんか?ちょっと間違ったらまた存在消えんのちゃうんか?」
「そうならへんための実験やん。多分、危険は鼻で察知できると思う!」
――もはや犬やん……
「はぁ……ほな、まぁやってみたらええんちゃう?」
「他人事みたいに言うなよ。しーちゃんもてつだってや」
「ええけど……具体的に何すんの?」
「なにしよ?」
「考えてへんのかい!」
テヘっと、ぶりっこみたいに首をかしげて舌を出す。
俺は思わず頭をしばいてもたけど、透明な体をスカッとすり抜けただけやった。
「とりあえず、しーちゃんから五メートル離れると意識はあるけど、形は保てない。やろ?」
「お前さっき窓すり抜けてきたよな?壁とかも自由自在ってことか?」
「うん!このとおり!」
穂高はベッドからするりと降りて本棚の中に消えていった。
そして……「じゃじゃーん!」と言って、本棚の横のクローゼットから出てきた。
「うわ、ガチやん。怖!じゃあ、一瞬でリビングに行ける感じ?」
「最短距離でいけます!」
「ほな冷蔵庫から炭酸もってきてや」
「任された!やってみる!」
穂高は本棚を抜け、消えていった。俺はしばらく本棚を見つめる。
「…………」
すると、すぐに本棚から半透明の穂高が顔だけにょきっと出してきた。
「うわっ、きもっ」
「しーちゃん、キモいはひどいやろ……」
「お、おぉ……ごめん。思わず……どうした?」
「しーちゃん」
「ん?」
「炭酸、持てへん」
穂高の眉が下がる。
「まぁ、そらそうか」
「でもでも!」
「なに?」
「冷蔵庫の中には入れました!しーちゃんちの冷蔵庫、なんも入ってないんやな。なんか、心配なるわ……」
――俺は冷蔵庫に入れる存在のほうが心配やわ……



