嘘つき優等生~本音が言えない私を救ってくれたのは、ある秘密を抱えた君でした~

 私、本当に独りぼっちだ……。
 校舎裏のベンチで、そう思う。
 (そら)くんと話をした後、逃げるように教室に戻ってしまった。
 真実は知れた。
 でも、心の整理はつかない。
 ぐちゃぐちゃだ。
 こういう時、相談していた涼葉(すずは)とも喧嘩中。
 なんて最悪なんだろう。
「――あれ、(ほし)さん?」
「あ、西壁(にしかべ)くん。どうしたの?」
「なんとなく、かなぁ。ここでお昼食べてた時もあったから」
 西壁(にしかべ)くんには、似合わない場所だと思った。
 暗くて、寂しくて。
「……隣、良い?」
「うん、良いよ」
 西壁(にしかべ)くんは、菓子パンを持っていた。
「……なんかあった?」
「え……?」
「なんか、思い詰めた顔してるなーって思って」
 西壁(にしかべ)くんにもバレるんだ……。
 私、そんなに分かりやすくはないと思うんだけどな。
「ちょっとね。友達と、喧嘩しちゃって」
「それって、仁科(にしな)さん?」
「そう、だけど……」
「やっぱりそうなんだ。二人、いつも一緒に食べてたのに、急に別々で食べ始めてるから、なんかあったのかなーって思ってたんだよね」
 少し、会話が途切れた。
 そういえは、私たちって、全然話したことなかったよな、と思い出す。
「……俺、家が嫌いなんだよね」
 西壁(にしかべ)くんは、唐突にそう言った。
「俺、母子家庭なんだけど。母親が医者で。いっつも忙しいし。中々遊びに行ったりもできなかったから。……でも、そのくせに、俺には医者になれ、ってしつこくて。成績も、下がったらめちゃくちゃ怒られるし。だから、家が好きじゃないんだよね」
 西壁(にしかべ)くんも、色々なことを抱えていたんだな。
「母さん、忙しいからさ。ばあちゃんのお見舞いも、代わりに何度も行かされた。……でも、俺をここまで育ててくれたのも、母さんだし。……なんか、そう思ったら、何にも言えなくて。家でずっと本音を言えなかったせいか、どこでも本音を言えなくなったんだよ。あれが良いとか、あの役になりたいとか。そういうの、何にも……」
 きっと、私たちは不器用なんだろう。
 周りと上手くやろうと本音を隠して、自分を傷つけている。
 もっと、上手く人と関われたら良いのに。
「だから、すぐに分かったよ。瑠愛(るあ)とか、(ほし)さんとか、本音、隠してるんだろうな、って」
 見上げた空は、真っ青だった。
「本音を隠して、上手く立ち回るのも、必要だと思う。……でも、ちゃんと、本音でぶつからないといけない時も、あると思うよ」
「……ありがとう、西壁(にしかべ)くん」
「どういたしまして」