嘘つき優等生~本音が言えない私を救ってくれたのは、ある秘密を抱えた君でした~

 あの後、(そら)くんとは、なんとなくギクシャクしている。
 傘は返したけれど、それっきりだ。
 心の整理がついていない。
 そんな、心が不安定だった頃の出来事だった。
「……仁科(にしな)さんってさ、冷たいよね」
「それなー」
 放課後の教室。
 私は、忘れ物をしてしまい、教室に戻っていた。
 クラスの女子が、涼葉(すずは)の悪口を言っていた。
「融通効かないし」
「図書委員の仕事頼んだらさ、『自分の仕事でしょ』って断られた」
「えー?何それ?」
 そりゃそうでしょ。
 自分の仕事なんだから、他人に押し付けるのは違うと思う。
 でも、そんなこと言えない。
 言ったら、私が――。
「ね?(ほし)さんもそう思うよね?」
 彼女たちは、教室に残っていた私に、そう話しかけた。
「そ、そうって?」
「だから、仁科(にしな)さんって、冷たいよね、って話」

『私、みんなに冷たいって思われるの、コンプレックスなんだよね』

『無愛想とか、言われたくないよ』

 ふいに、涼葉(すずは)の言葉を思い出す。
 中学時代、仲良くしていた友人から、そう言われたそうだ。
「そうそう。空気も読めないし」
 あなたに何が分かるの、と言ってしまいたい。
 ……涼葉(すずは)は、冷たくなんてない。
 優しいよ……。
「……うん。そう、だね…………」
 ごめんね、涼葉(すずは)
 私は、彼女たちに立ち向かえるくらい、強くない。
「だよねー」
 私と関わりの少ない彼女たちは、知っていたのだろうか。
 ――私が、涼葉(すずは)の幼なじみだということを。