嘘つき優等生~本音が言えない私を救ってくれたのは、ある秘密を抱えた君でした~

「おかえりー、(けい)。雨大丈夫だっ……た……?」
「姉ちゃん。タオル貸して」
「う、うん」
 (そら)くんの家は駅の近くのマンションだった。
 中から出てきたお姉さんは、とても綺麗だった。
「はい、タオル。……あー、えっとー……」
「あ、(ほし) 実柚(みゆず)です」
「……(ほし)……?」
「はい、そうです、けど……」
 彼女は、私の名字に反応した。
「あ、いや。なんでもないの。私は、(けい)の姉の(みどり)です。よろしくね」
 その理由を、私はすぐに知ることになる。
「俺、着替えるから、ちょっと待ってて」
「あ、うん」
 (そら)くんが、部屋に入っていく。
「……実柚(みゆず)さん、で良いかな?」
「あ、はい」
「上がりなよ」
 リビングに入る。
「その辺、座っといて」
 整理整頓されていて、綺麗だ。
 部屋を見渡す。
 写真が置かれている場所があった。
 (みどり)さんの入学式の写真や、(そら)くんの卒業式の写真などが飾られている。
 小さい頃の(そら)くんの写真も飾られていた。
「え……?」
 その写真に、私は釘付けになった。
 違う、ありえない。
 そんなわけない。
 そんなこと、あるはずない……。
「どうした?(ほし)
「あ、(そら)くん……」
 彼を、見れない。
「ごめん、私、帰るね」
「あ、ちょ……」
 (そら)くんの声が聞こえたけれど、振り返られない。
「待てよ、(ほし)
 マンションのエントランスで腕を掴まれる。
「……帰るなら、傘使えよ」
「…………あり、がと」
 渡された傘を見ることしかできなかった。