嘘つき優等生~本音が言えない私を救ってくれたのは、ある秘密を抱えた君でした~

「みーゆーずーちゃんっ」
「……び、っくりしたぁ。どうしたの?瑠愛(るあ)ちゃん」
 昼休み。
 図書室で本を借りた後、教室に戻ると、瑠愛(るあ)ちゃんが待ち構えていた。
「ほら、土曜日、遊びに行くでしょ?それについての打ち合わせ!もうみんな待ってるよー」
「え、ちょっと、待ってよー……」
 腕を引っ張られて、近くの空き教室に入る。
実柚(みゆず)ちゃん、連れてきたよ!」
「ごめんね、待たせちゃったみたいで……」
「別に全然大丈夫だし」
 四つの机が向い合せで並べられている。
「はい、ここ、実柚(みゆず)ちゃんの席」
 (そら)くんの向かいの席だった。
 隣は瑠愛(るあ)ちゃんだ。
「まず……。集合場所どこにする?」
「モールの東口とか?」
「なるほどね。他に案は?」
 瑠愛(るあ)ちゃんが私と(そら)くんを見る。
「良いんじゃね?それで」
「うん、良いと思う」
 四人だけの教室。
 なんとなく、息がしやすい。
「オッケー。じゃあ、十時に、マリン南モールの東口に集合ね!……で、その日、何して遊ぶ?」
「何って……。クレーンゲームとか?あと、映画?」
「映画!いいね!なんか、良いのやってるかな?」
 瑠愛(るあ)ちゃんが、スマホを取り出す。
 話を回してくれていた瑠愛(るあ)ちゃんが黙ってしまったから、何とも言えない沈黙が流れる。
 少し、息がしづらくなった。
「あ、これ観たい!『余命一年。君と、最初で最後の恋をした』」
「あー。小説が原作のやつ?なんか、話題になってるよね」
 そういえば、瑠愛(るあ)ちゃんって、感動する恋愛ものが好きだったな、と思う。
「……みんなは、何かある?観たい映画」
「いや、特にないな」
 瑠愛(るあ)ちゃんのスマホの画面を覗き込む。
 私は、あまり映画は観ない。
 誘われたら、観に行くけれど。
「じゃあ、『よめ恋』でも良い?」
「私は良いよ」
「うん、俺も」
「観たいの特にねえからな」
 特に、面白そうな映画もなかった。
「決まりね!この映画、人気だから、席の予約したいんだよね。どこが良い?」
「……こことか?」
 (そら)くんが指さしたのは、端の席だった。
「四人だから、二人ずつに別れて座るとか。俺、前を人に通られるの、好きじゃないんだよね」
 私も、苦手だなぁ。
 通られる時もだけど、自分が通る時も。
「ふーん?私は別に良いけど。二人は?」
「うん、私も良いよ」
「俺も。前のほうじゃなかったらどこでも」
 揉めることなく決まることに、私は安堵していた。
 瑠愛(るあ)ちゃんが仕切ってくれるし、(そら)くんや西壁(にしかべ)くんも意見を出してくれる。
 ……私はただ頷いているだけ。
 そう実感して、なんだか、申し訳なくなった。