嘘つき優等生~本音が言えない私を救ってくれたのは、ある秘密を抱えた君でした~

 小高い丘の上。
 気持ちいい風が吹く。
 学校とは違って、とても息がしやすかった。
「んっ」
「あ、ありがとう……。あ、お金……」
「良いって、別に」
 ペットボトルの水を飲む。
 とても冷たかった。
「学校の近くに、こんなとこあったんだね。知らなかった」
「だろ?……お前も、たまには風景画とか描けば?」
「そうだね……」
 スクールバッグの中から、スケッチブックを取り出す。
「……空(そら)くんって、ここで絵描いてるの?」
「まあ、たまに?他にもいろんなとこで描いてるから」
「そうなんだ……」
 空(そら)くんの描いている作品は、風景画ばかりだった。
 綺麗な絵だった。
 澄み渡る空。
 生き生きとした植物。
 そんな彼を、私は密かに尊敬していた。
「……昨日はさ、悪かったな」
「え?」
「いや……。お前の気持ちとか、なんにも考えずに言っちゃったなーって思って」
 絵を描く準備をしながら、空(そら)くんはそう言った。
「ああ……。ううん、気にしないで」
 言っていることは正しかったしね……。
「……無理すんなよ、あんまり」
 少しぶっきらぼうな言い方だったけれど、そこには、優しさが含まれていた。
「うん、……ありがとう」
 今日、ここに来られて良かった。
 そう、心から思った。
 そして、彼に、心から笑うことができた。
 いつもの作り笑いじゃない。
 本当の笑顔で……。