カインドネス・リベンジ

 その日はなぜか、なかなか眠ることができなかった。

 気分転換に外へ出る。
 何気なく空を見上げると、星が綺麗にまたたいていた。
 まだ眠れそうにもない。

 散歩がてら、コンビニへと向かった。

 コンビニに着くと、雑誌のコーナーをうろつく。
 気になっていた雑誌の新刊が出ていたので、その雑誌を手に取った。
 パラパラとページをめくりながら、周りを見渡す。

 店員以外に人の気配は感じられない。
 どうやら、コンビニの客は自分だけのようだ。
 まあ真夜中だしな。

 急に閑静な住宅街にサイレンの音が鳴り響いた。

 コンビニのガラス越しに、次々と消防車が走っていくのが見える。
 なんだか妙な胸騒ぎがして、読みかけの雑誌を棚に戻すと急いでコンビニを出た。

 辺りを見回すが、何も変わったことはない。来たときと同じ風景だ。
 しかし、胸のざわつきが収まらず、来た道を走って戻る。

 息があがって苦しくなってくる。
 それでも、逸る気持ちが足を止めさせなかった。

 走っている途中で、親友がこちらへ歩いてくるのが見えた。
 こんな真夜中に、一人でどうしたのかと思い、声をかける。
 親友はひどく驚いた様子で、目を泳がせていた。

 様子がどうもおかしかったが、今は一刻も早く家に帰りたい。話もそこそこで切り上げ、また走り出した。

 家に近づくにつれ、自分の家の方から火が上がっていることがわかった。

 まさか、という思いと、どうか違ってくれという思いが混ざり合い、その気持ちを振り切るように走り続けた。

 しかし、現実は残酷だ。

 燃えていたのは自分の家だった。

 到着したとき、家は既に炎に包まれ、激しく燃えていた。
 消防車が何台も到着し、隊員たちが忙しなく動いている。野次馬たちも徐々に集まりはじめていた。

 人をかきわけ進んでいくと、消防隊員に止められた。

「家族が、まだ中にいるんです!」

 家を出たときはみんな寝静まっていた。きっと火事にも気づいていないはず。

 燃え盛る炎めがけて突っ込んでいこうとするが、それも周りの人たちに止められる。

「父さん、母さん、真衣(まい)!」

 炎は勢いを増し、全てを飲み込んでいく。
 家屋の一部が崩れ落ちた。もう中へ入れる状態ではない。

「そんな……なんで、なんでだよ!」

 全身の力が抜け、その場に崩れ落ちる。
 そのとき、大勢の野次馬の中に見知った顔が目に入った。

 一人の少年が燃え盛る炎を見つめ、微笑んでいた。