落ちぶれた歌姫は、あやかしの皇帝に愛される

「……紗奈子(さなこ)。お前が、東宮の食事に毒を盛ったのだろう?」
「違います!私じゃありません!」
 どれだけ訴えても、聞き入れてはもらえなくて。
 ……私は、弟に毒を盛ったとされた。
 私は、皇女ではなくなった。
 ……ありえない。
 やっていないのに……。
 どうせ、私が邪魔だっただけでしょう?
 私が邪魔なら、ただ臣籍降下させるだけでも良いのに……。
「……もう二度と、後宮(ここ)には来たくないわ」
 なんて呟きながら、後宮を出る。
「……あっ、姉上!」
太李(たいり)……」
「ごめんなさい。僕が、無力なせいで……」
「別に良いのよ。……太李(たいり)は、頑張って生き抜いてね」
 実の弟との別れは、悲しいけれど、仕方ない。
 これが、私の運命。