絶叫した視界の先。
直撃したかと思った青白い雷光は、まるですべてを飲み込むように、黒い球体の中へ音もなく吸い込まれていく。
あんな恐ろしい雷が、もし暁臣様に当たってしまったら。
無事でいられるはずがない。どうしたらいいのか。
お二人を——一体、誰が止められるというのか。
「あ、綾乃様っ……!お願いです、東宮殿下をお止めくださいっ!」
「あのような……そんな……わたくしのような力では、到底……っ」
隣にいた綾乃様は目を見開き、青ざめた顔で小さく首を振るばかり。
「はははっ!いいね、暁臣!真っ向からの力比べといこうか!!」
狂気を孕んだ東宮殿下の笑い声とともに、二度、三度と天を裂く雷が執拗に暁臣様を襲う。
すべては黒い球体に吸い込まれている——そう見えるのに。
私の足は、がたがたと震えが止まらない。
お二人がどうなれば止まるのか。
こんな嵐の中で、暁臣様が無事でいられる保証なんてどこにもない。
『華の加護』も『異能』も持たない無力な私には、仕組みがわからない。
何をすればいいのかもわからない。
ただ祈ることしかできないのに、その祈りさえ、雷鳴にあっさり掻き消されていく。
そして、一際大きな雷が吸い込まれた後だった。
吹き荒れていた風の引き込みが、わずかに——けれど確実に弱まった。
「……小さく、なって……いる……?」
暁臣様の両腕の幅ほどもあった漆黒の球体が、目に見えて萎縮していく。
『異能』の仕組みなど、私には何もわからない。けれど……。
あの漆黒の球体が、もし有限の力だったとしたら。
あの凄まじい雷を、生身の人間が耐えきれるとは到底思えない。
「いい加減、飽きてきたな……そろそろ終わりにしようか、暁臣」



