【Web版】無華の花嫁3~秘めた力を狙われた少女は、黒薔薇の殿下に溺愛される~

 震える声で告げた、その瞬間。
 視界のすべてが暁臣様に覆われ、これまで交わしたどの口づけよりも深く、焦がれるようなキスが降ってきた。

 それは、ただ優しいだけのものではなかった。
 私の魂の奥底まで暴き、求め尽くそうとする、切実な口づけ。

 唇の隙間から零れる自分の吐息に、身体の力が抜け、溶けてしまいそうになる。
 私は必死に耐えるように、暁臣様の広い背中へ震える手を回し、しがみついた。

「……っ……は……はぁ……」

 ようやく唇が離れ、酸素を求めて肩が大きく上下する。
 熱に浮かされた視界が涙で滲み、世界がゆらゆらと揺れた。

「……真っ赤だな、すみれ。熟れた果実のようだ」

 低く愉しげな声。
 暁臣様の長い指先が、私の耳たぶに触れ、首筋をなぞり、鎖骨のくぼみを滑るように下りていく。
 きっと今の私は、顔だけでなく、全身が深紅に染まっているに違いない。

「……はち、かいめ……です……」
「八……?」
「あの……今のが、暁臣様と交わした、八回目の……キスで……」
「ふっ……。もう数えなくていい。これから先、数え切れないほどすることになるのだから」