異能を持たない花嫁と最強のあやかし

「……美しかったな、あの人」
 逃げ出すように去ってしまったこと、謝りたい。
 ……でも、名前は言えないよ……。
桜子(さくらこ)。なにしてるの?ぼーっとしてないで、手動かしてよ」
「すみません……」
 あの後から、あの人のことが頭から離れない。
 どうしてだろう……?
「謝る前に動きなさいよ!」
 少しでも気を抜くと、彼の姿が脳裏に浮かぶ。
 ……はあ。
 やっぱりダメダメだな。
 一度会っただけの人のことを、忘れられなくなるなんて。