あやかしの花嫁 ~異能を持たない無能令嬢と最強のあやかし~

柊香(しゅうか)さま、また異能が開花したらしいですね?」
「ええ……。桜子(さくらこ)さまは双子なのに、異能を持たないなんて、……お可哀そう」
「ほんと、一族の恥ですよね?……(たかむら)家のご令嬢が、異能を持たないなんて」
 男尊女卑の世の中で、女性が男性と対等に渡り合うには、異能が必要。
 異能は、大抵の場合、女性のほうが強いから。
 私は、名家・(たかむら)家の次女。
 華族という部類に入る。
 ……でも、私には、ない。
 華族の人間なら、誰しもが持っている異能が。
 私が生まれた家庭が、一般家庭だったなら、状況は違っただろう。
 一般家庭の人間は、異能を持つほうがが珍しいから。
 でも、私は華族の人間。
 持っていないとおかしい。
「だから、桜子(さくらこ)さまはあの部屋なんでしょう?とても狭くて、埃っぽい」
「あんな方に、"さま"なんてつけたくないわ。私でも異能を持っているのに」
「本当よ。私たちも、(たかむら)家だから、って承諾したのに。異能を持たない令嬢の世話なんてしたくないわ」
 この世では、あやかしが一番強い。
 そして、その次が、異能持ち。
 ……異能持ちでない華族の人間なんて、捨てられて当然なのだ。
 捨てられていないだけ、マシだと思わないと……。
「……それに、柊香(しゅうか)さま、あやかしに見初められたとか」
「ええ。あの方は本当に素晴らしいお方よ。異能も強いし、美しい。……桜子(さくらこ)さまとは大違いですわね」
 私の双子の姉は、全てにおいて優秀だ。
 成績はいつも上位だった。
 異能も強い。
 真っ黒でストレートの髪と、真っ黒な瞳。
 華族の女性が憧れる姿。
 しかも、この前行われた社交パーティーで、あやかしに見初められたそうだ。
 ……強いあやかしに。
 あやかしの名家・(たちばな)家の跡継ぎ。
 羨ましい。
 どうして、こんな違うんだろう?
 姉妹なのに。
 双子なのに。
 どうして、私は異能が使えなくて、姉上は異能が使えて。
 姉上はいつも優秀で、あやかしにも選ばれて。
 私には、なにもない……。
 どうして、姉上は、全てを手に入れているの?
花斗(はなと)さまも、華宮(はなみや)初等学校を、首席で卒業されたとか」
「さすが、(たかむら)家ですね」
 弟の花斗(はなと)も、優秀だ。
 男尊女卑の世の中。
 男性が優先される世の中で、私は異能を持たない無能令嬢。
 下の下だ。
 女性と言うだけで下に見られるのに。
 異能を持たない華族なんて、白い目で見られても仕方がない。
 陰口をたたかれても仕方がない。
 ずっと、そう言い聞かせていた。