俺達が学校内人気ナンバーワンカプ!?

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その日、いつも通り学校に行って、いつも通り授業を受けた。

しかし、休み時間に1人でトイレに行った時…。

「…あ…」

トイレで泉斗(いずと)に遭遇した。向こうも1人だった。
改めて近くで見ると、やっぱり可愛いなと思った。目が大きくて、髪もサラサラで…。身長は俺と同じくらいかな?

でも、俺と泉斗は今まで喋った事はないはず。
ツーショット撮影会も握手会も、多分泉斗は来てなかったと思うから。
だから泉斗とは今まで喋った事はない。

とはいえ、何を話せばいいか わからないし、そもそもわざわざ頑張って話しかける必要もないので、俺は軽く会釈をしてトイレに向かおうとした。

「…ねえ」
「えっ?」

まさかの向こうから話しかけてくれた。
けれど、泉斗が俺を見つめる瞳には光がなく、冷酷な目で俺を見つめている…。

「大聖くんの事、どう思ってんの?」

喋った事ないのに いきなりそんな事を聞いてきて、俺は ぽかんとしてしまった。

「…ど、どうって…。友達だと思ってるけど…」
「…ふーん」

泉斗は冷たい表情のまま、ゆっくりと俺に近づいてきた。

「僕はあんたが気に入らない」
「…はっ?」

え、急に何?俺、あなたに何かしましたっけ…?

「あんたの全てが気に入らない。身長も僕と一緒、名前の響きも似てるし、誕生月も僕と一緒で11月生まれだし。水色が好きなのまで一緒。いろいろ被ってて、気に入らない」

…えー…。そんな事言われましても…。

困惑しながらも、頭の中を整理した。
泉斗は俺といろいろ被ってるのが気に入らないと主張している。
それってつまり…。

「…同族嫌悪ってやつ?」

俺がそう尋ねると、泉斗は余計に俺を睨んできた。

「…えー…。同族嫌悪かあ…。俺は、自分と共通点いっぱいあったら、むしろ仲良くなりたいって思うけどなー」

俺のその言葉は本心だ。自分と共通点がいっぱいあったら、むしろ「運命じゃん!」ってなって、仲良くなりたいって思う。
でも、泉斗は逆なんだね…。

「はあ?あんたとなんか仲良くなりたくない」

やっぱり泉斗は冷酷だった。
にしても、いろいろハッキリ言われると、やっぱり傷付く。そもそも俺、彼に嫌われるような事をした覚えはないんだけど。

「…うん。そっか。それは残念」
「目障りだからさ、もう大聖くんに関わらないでもらえるかな?」
「…え…?」
「目障りなんだよね。マジで邪魔。掲示板のアンケートでもさ、『たせゆめ』よりも『たせいず』の方が人気だったしさー」

…え…。待って待って…。もしかして…。

「…掲示板で俺の悪口いっぱい書いてたの、泉斗くん…?」

彼は表情を変えず、冷静に返した。

「だったら何?」

…そっか、あの書き込みの犯人は泉斗だったんだ…。
俺の事が嫌いだからあんな書き込みしたの?嫌いなら嫌いでほっとけばよくない?なんでわざわざ書き込むの?

ぐるぐると考えていると、泉斗は続けて口を開いた。

「ついでに暴露すると、僕の写真を投稿して『この子可愛くない?』って書き込んだのも、僕自身だよ」
「自作自演だったの?」
「まあね。あの写真は友達に撮ってもらった。で、僕も掲示板内で人気になっちゃった」
「うん、それは全然いいよ。でも、俺への誹謗中傷は もうやめてほしい」
「だったらもう大聖くんに近づかないで?『たせゆめ』よりも『たせいず』の方が人気だって事、アンケートで証明されたし。もうあんたに需要ないよ?」

確かにその通りだ。あのアンケートは1人1票までしか投票出来ないから、たせいずの方が人気なのは確かだ…。

…でも…。

「…無理!」
「はあ?」
「あなたに『大聖に近づくな』とか言われる筋合いないし!」

ちゃんと言い返した。
確かに もう『たせゆめ』のブームは去ったのかもしれないけど、俺が誰と仲良くしようが自由だし。

〝パチン!〟

「…え?」

…え?何?俺、ビンタされた?

後から頬にじわじわと痛みが広がってくる。

「調子乗んなブス!」

泉斗はそんな捨て台詞を吐き、そのまま行ってしまった…。

「…え?なんで殴った?」

いきなりビンタされて、放心状態になっていた。

…えーっと、つまり、整理すると…。
泉斗は俺の事が嫌い。掲示板の俺への誹謗中傷の犯人は泉斗で、泉斗は大聖が好き?

泉斗にいろいろ酷い事言われて傷付いたけど、ちゃんと言い返せて良かった。

でも、今回、大聖は助けに来てくれなかったな…。
後輩の女子生徒に言い寄られた時も、戸村くんに襲われそうになった時も、大聖は助けに来てくれたから…。

だけど、仮に大聖が来てくれてたとしても、大聖は俺の味方になってくれてたかな?ちゃんと助けてくれてたかな?

もう、いろいろわかんない。わかんないし、傷付いたし、モヤモヤするし、イライラするし、もう、ぐちゃぐちゃだ…。