俺達が学校内人気ナンバーワンカプ!?

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午前3時。

さすがにもう寝ようという事になり、部屋の電気を消した。

しばらくはシーンとしていた。

きっとみんなもう眠ったのだろう。俺もそのうち眠る。明日、というか今日は、お待ちかねの遊園地だ。

「…まだ誰か起きてたりするー?」

その声の主は大聖だった。大聖もまだ起きてたんだ。

「起きてるよー」
「おー、マジか。てっきりもうみんな寝たのかと思ったわ」
「ふふっ。まだ起きてる。でも、いつ寝落ちするかは わかんない」
「それは俺も」

律と直希は目を瞑ってすうすうと寝息を立てているため、もう夢の中だろう。
俺と大聖だけが起きている。でも2人を起こさないように小さめの声で会話をする。大聖とは布団が隣だから、小さめの声量でも全然聞こえる。

「…ゆめとー」
「んー?」
「明日、ジェットコースター絶対乗ろー?」
「うん、もちろん。4人とも絶叫系得意なのはアツいよね」
「アツい。最高」
「ね」
「…ゆめとー」
「はーい」
「…さっきのさ、掲示板とかで俺ら4人が騒がれてるって話の続きだけどさ」
「…うん」
「夢人の事が好きな奴がいっぱいいる訳じゃん?中には厄介な奴もいるかもしれない。例えばさ、こないだのあの男…。えっと、名前なんだったっけ?」
「戸村くん?」
「あー、そうそう、戸村。戸村みたいにさ、お前を襲おうとする奴が他にもいるかもしれない。だから、何かあったら絶対に俺に言え」

大聖は真剣な瞳で真っ直ぐ俺を見つめながら言った。電気は明るめの常夜灯にしてあるから、大聖の表情はちゃんとわかる。
“絶対にお前を守るから”と言いたげな目だった。
いつもは愉快でうるさくてずっと笑っている大聖だけど、こういう時の真剣な表情がかっこいいと思う。

「…ありがとう…。大聖も何かあったら言って?4人で共有しよう」
「おう。まあ俺は、何か嫌な事されたら直接その本人に言うし、大丈夫だけどな」
「はは。そうだね。大聖はそういう性格だわ」

“言いたい事は本人に直接伝える”

大聖のそういうハッキリとした性格、憧れる。まあ、結構 子供っぽい部分もあるけれど。

「てか、掲示板で騒がれてる事とか、俺ら4人のファンクラブがある事とか、大聖 全部知ってるのかと思ってた。暗黙の了解みたいな感じでみんな何も言わないだけなのかと思ってた」
「いや、夢人に教えてもらうまでマジで知らなかった。掲示板とか全く見ねえもん」

確かに大聖の性格上、掲示板は見ないタイプかもしれない。だって大聖は、言いたい事があるなら本人に直接言うタイプだし。顔の見えないネットの世界とは無縁なタイプなんだと思う。

「…大聖が俺に対してスキンシップが増えたのは、『たせゆめ』が1番人気だから、俺とくっつけば女子達が喜ぶからだと思ってた…」
「…ん…?いや、まず、俺と夢人が『たせゆめ』って呼ばれてる事すら知らなかったし、たせゆめが1番人気なのも知らなかった」
「うん。そうだよね。掲示板見てないもんね」
「おん」

まあ、スキンシップが増えたのは、ただの俺の思い過ごしだったのかも。男同士でもふざけてイチャイチャしたりするし。

「…」
「…」

大聖といろいろ話しているうちに眠くなってきた。そろそろ寝落ちするかも。
大聖も喋らなくなったし、もう本当に寝よう。

“おやすみ”

そう言おうとした時だった。



「俺、夢人の事、好きだから」



…ん…?

今の声って大聖だよね…?

俺、夢人の事、好きだから。

…って聞こえたけど…。

「…ねえ、聞いてる?寝ちゃった?」

大聖が俺の顔を覗き込んできた。
…相変わらず近い…。

「なんだ、起きてんじゃん。反応ないからもう寝たのかと思ったわ」
「…寝そうだった。でも、大聖のせいで、今すっかり目が冴えて眠れなくなった…。マジで大聖のせい…」
「それはごめん」

すっかり目がバキバキになってしまった…。

まだまだ寝れないから、2人ともとりあえず起き上がった。

…大聖が俺の事を…好き…?

それは本当なの?聞き間違いじゃないよね?

「…大聖…」
「うん」
「…俺の事、好きなの…?」
「うん。好き」

ちゃんとハッキリとストレートに『好き』と言った。

“言いたい事は本人に直接伝える”

いきなりここで伏線回収してきたな…。

…いや、でも、『好き』にもいろんな種類があるし…。

「…それってさ、どういう種類の好きなの…?」

友達として好きなのか、それとも…。



「恋愛感情の方に決まってんじゃん」



いつものふざけてる時とは全然違う、真剣なトーンの声色で言った。

お互いに真っ直ぐ見つめ合っている。絶対に2人とも目を逸らさない。いや、逸らせない。大聖の綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうだ…。

…恋愛感情…。

大聖が、俺に、恋愛感情…。

「…本当に言ってる…?」
「うん。本当に言ってる。だってさ、よく考えてみ?好きでもない奴とキスしないだろ」

…キス…。

あの時は戸村くんがしつこかったから、戸村くんを諦めさせるためのキスだと思ってた。俺のために体を張ってくれただけだと思ってた。

でも、違う。

あのキスも、スキンシップとかも、

俺の事が好きだからやったということ…?

「まあ、そういう事だから。おやすみ」

さらっと勝手に話を終わらせて、大聖は布団に潜ってしまった。

…え…?

えー…。勝手に盛大な暴露して、俺の事眠れなくしといて、自分だけ寝るって…。勝手すぎるよー…。

…そもそも、大聖の事をそういう目で見た事はないな…。

でも、キスされて以降、大聖に対してドキドキしてしまう事はある。
けれどそれは、俺がキスの事をずっと気にしてて、少し意識してしまっているからなんだと思う。

大聖とは一緒にいて楽しいし、大聖の事が大好きなのは確かだ。

でも、俺が恋愛的に好きなのは律。大人っぽくて、優しくて、包容力があって…。そんなところに惹かれたんだ。

だから、大聖と恋人?みたいな関係になるのは想像出来ない…。

…え、どうしよう?大聖になんて言えばいいの?しかも修学旅行中だし。めっちゃ気まずいんだけど…。

どうしよう。どうしよう。どうしよう…。

ぐるぐると悩んで、結局ずっと眠れずにオールしたのだった。

・

朝。

アラームが鳴り、まず最初に律の布団がゴソゴソと動き出し、律が起きた。二度寝とかせずにスッと起きれるの凄いな。

「…律…」
「うお。え、夢人、もう起きたの?早いねー。何時に起きたのー?」
「…ずーっと起きてた…。オールした…」
「え、マジ?大丈夫なの?」
「…大丈夫…」

普通は疲れ果ててぐっすり眠るんだろうけど、俺の場合、大聖のせいで眠れなくなってしまったのだ。
けれど俺を眠れなくした犯人は、ぐっすりと気持ち良さそうに眠っている…。

「なおきー。たいせーい。起きてー」

律は歯を磨きながら2人を起こし始めた。
俺はそんな律をぼーっと見つめながら歯を磨いた。

「…んー…。おはよ…」

直希は素直に起きた。大聖は起きないけど。

「おはよう直希」
「おはよ。今日は夢人の方が早かったんだね。2番目だったんだ?」

直希は、律が1番最初に起きて、俺が2番目だと思い込んでいる。

「いや、今日は夢人が1番で、俺が2番だったんだよ。夢人、オールしたんだって」
「マジ?めっちゃ陽キャじゃーん」
「はは。何言ってんのー。直希も早く歯磨きしなー?」
「うぃー」

律と直希の会話を黙って聞いていたが、俺の頭の中は大聖の事ばかりだった…。

大聖は相変わらず起きなかった。律と直希に何度か起こされて、やっと渋々起きた。大聖の寝起きは相変わらず静かだった。

大聖も歯を磨いて準備をし、4人で朝食の会場に向かった。
また昨日みたいに、大聖は朝食の会場に着いたら元気になっていた。