俺達が学校内人気ナンバーワンカプ!?

放課後の静かな教室。
俺は1回も喋った事のない後輩の女子生徒に呼び出された。

「あのっ。私、夢人(ゆめと)先輩の事を推してて…。なんか気付いたらズブズブと沼にハマっちゃってて…」
「…え、あー…。それはどうも…?」
「私、夢人先輩の事が本気で好きで…。“リアコ”なんです!」
「…リアコ…」
「でも、お付き合い出来るなんて思ってません。ただ、私と1日だけデートしてくださいっ!」

…いやいや無理でしょ。初対面でいきなりそれは突発すぎるって…。

断ろうとしたら、彼女は続けて口を開いた。

「もちろんタダでとは言いません。10万払いますから!うち、パパが社長なんで!」

そう言って彼女は鞄から茶封筒を出し、「デート代もパパが全額 出してくれるので安心してください」と言いながら、茶封筒を差し出した。
…いやいや、パパ泣いちゃうよ?
そもそも俺はアイドルとかじゃないし。一般人のただの普通の男子校生。俺に10万の価値はない。そして俺は、好きでもない女の子とはデートしない。

「…ごめん、無理」
「10万じゃ無理って事ですね?じゃあ20ですか?30ですか?いくら積めば先輩とデート出来るんですか!?」
「金額の問題じゃない」
「じゃあ、どうすれば先輩とデート出来るんですか?整形してもっと可愛くなればいいですか?私のどこが駄目なんですか!?」

…うわあー…。
めんどくせえええーーー!!!
脳内でそう叫んだ。
めんどくさい。めんどくさすぎる。早く帰らせてくれ。

「…えっと…」

俺が呆れ笑いを浮かべながら喋り出そうとした瞬間。

「ゆめとー?まだあー!?」

陽気な声が教室に響いてきた。

「…大聖(たいせい)…」
「はっ…!大聖(たいせい)先輩だ…!」

俺の友達である日高(ひだか)大聖(たいせい)が教室に入ってきて、女子生徒の目はキラキラの乙女の目になった。

「ごめんねえー?夢人が あまりにも遅いから俺が迎えにきちゃった!」

そう言いながら、大聖は俺の肩に腕を回した。ほんのりと甘い香りが俺を包む。

「はっ…!尊い…!」

女子生徒は、茶封筒を持ってない方の手で口を押さえ、昇天していた。

「ねーねー、君1年生だよね?うちの夢人と何喋ってたの?その茶封筒は何かなあ?」

大聖は笑顔でそう問いかけたが、なんだか目が笑っていなくて、少しだけ圧を感じた。
そしたら女子生徒は、慌てて茶封筒を後ろに隠した。

「いやっ?あのっ!なんでもないですっ!失礼いたしますご馳走様でした!」

女子生徒は早口でそう言ってペコリと一礼し、走って教室から出て行った。

「あはは。超ウケるー。ばいばあーい!」

笑顔で大きく手を振る大聖と、苦笑している俺。
大聖が来てくれたおかげで助かった。

「…大聖、ありがと…」

大聖はケラケラと笑いながら、俺の肩に回していた腕を解いた。

「早く行こ?律(りつ)と直希(なおき)が待ってる」
「ん。行こ行こ。ごめんねー」
「いいって事よー!」

大聖と共に、教室を後にした。


俺、川添(かわぞえ)夢人(ゆめと)と、
今、俺の隣を歩いている日高(ひだか)大聖(たいせい)が、
どうやら『学校内人気ナンバーワンカプ』らしい…。