「……え?今、なんて……」
「あ、いや……変なこと言ってすみません」
立ち尽くしていたら先輩の声が聞こえた。ハッとして顔を先輩に向けると明らかに動揺していた。
俺が変なこと言ったから、変な空気になったじゃん。俺のバカ。
「ねぇ!なんで今“懐かしい”って言ったの?ちーくん、記憶戻ったの!?ねぇ!」
「せ、ん……ぱい?」
はぁ、とため息が出そうになった瞬間、先輩が取り乱したように俺の胸ぐらを掴んだ。必死に訴えるように、涙目になっている。
そんな姿を見てますます固まる俺。どうしたらいいかわからなくなって、部屋の入り口で先輩に詰められていた。
「記憶って、なんですか?俺、先輩の部屋きたの今日初めてですよ?」
「……でもっ!じゃあなんで……」
「先輩、さっきからおかしいです!からかってるなら帰りますよ!」
「帰らないで!今日は絶対ちーくんと一緒に過ごす!ちーくん、今日は俺だけのものになって!」
あまりにも先輩が必死で、困惑していると。身体を壁の方に追いやられた。何故か先輩に壁ドンされてるような感じで。
掴まれた腕がじんじんと熱い。
……先輩……。なんで、俺のことこんなに求めてくれてるの。知り合って間もないはずなのに、この部屋に来てからなんかおかしい。
まるでずっと一緒にいたかのように感じた。
「……先輩……俺、わかんないです。先輩へのこの気持ち、なんなのか。ずっと前からあるような……んっ」
先輩へ“愛おしい”という気持ちが何故か溢れ出す。気づいたら先輩の顔が目の前に迫っていて。
唇に、暖かい何かが触れた。
「……はぁ。ごめん、我慢出来なかった。俺……昔からちーくんのことが……好きだったよ。混乱させてごめん。男の俺が、ちーくんを好きになって……ごめん」
キスだと気づいたのは唇に触れたものが離れた瞬間だった。それと、先輩からは涙を流しながらの告白を受けていた。
「……先輩が、俺を……?ずっと、前から……」
突然の告白……だよな?
好きって、たしかに言われたよな……?
俺……男に、告白されたのか?
「ちーくん。……好きです。ほんとはずっと前からちーくんのこと知ってた」
涙を拭いながら先輩はしっかりと俺のことを“好き”だと言った。やっぱり、先輩からの告白は聞き間違いじゃなかった。
「そんなこと……突然、言われても。告白するために今日俺を家に呼んだんですか?」



