"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

(せん)さまの奥さん、"花"を持っていないんですって」
 "向日葵"の香りがする使用人は、私のことを、陰でそう言っていた。
「"花"を持たない無能が妻だなんて、(せん)さまもお可哀そう」
 "菜の花"の香りがする使用人は、陰で私を笑っていた。
 ……どうして、私には"花"がないの?
 ねえ、どうして?
 どうして神様は私をいつも不幸にするの?
 どうして試練しか与えないの?
 ……私、お姉さまの代わりに、嫁ぎたくなかった柳瀬(やなせ)家の(せん)さんに嫁いだんだよ?
 少しくらい、幸せにしてよ。
 ……そんなに、私のことが嫌いなの?
 神様、答えてよ……。