"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

「本日から、莉彩(りさ)さまの専属使用人となりました。秋野(あきの) 芽以(めい)と申します」
 彼女からは、"すみれ"の香りがした。
 そっか。
 この人も、"花"を持っているんだ……。
 羨ましい。
「……昼食をお持ちいたしました。こちらテーブルに置いておきますね」
「ありがとう……」
 一年経ったら、どこに行けば良い?
 誰か、答えて……。
莉彩(りさ)さま。何かありましたら、呼んでくださいね」
「あ、はい……」
 やっぱり、私は誰にも愛されないんだ。
 "花"を持たない無能令嬢を、愛してくれる人なんていない。