"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

 外に出ると、真っ暗だった。
「怪我は、大丈夫か?」
「はい」
 ここは、(みお)さんの屋敷だった。
 玄関で待っていたお医者さんに、すぐに手当てをしてもらったから、もう大丈夫だ。
「すまなかった。こんな目に遭わせてしまって……」
 他の使用人から、私がいなくなっていて、窓が外から割られていたことに気付いて、(せん)さんに伝えたそうだ。
「いえ、そんな……」
 車に揺られながら、屋敷に帰る。
「……(せん)さん。……すごく、カッコ良かったです。ありがとうございました」
莉彩(りさ)……」
 (せん)さんは、私のヒーローだ。
「…………なあ、莉彩(りさ)
「なんですか?」
「……一年だけと言っていたが……。……その約束、やめないか?」
「……と、いうことは……?」
「一年じゃなくて、……死ぬまで。夫婦でいよう」
 (せん)さんは、私に優しく微笑みかけてくれた。
「……"花"を、持っていなくても、良いんですか?」
「構わない。俺は"花"で人を判断するつもりはないから」
 "花"がなくても、(せん)さんは、私を愛してくれる……?
「……どうだ?」
「はい……。ずっと夫婦でいましょう」



 私は、……私たちは、新しい未来に向かって進んでいく――。