"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

   バタンッ

 突然、部屋の扉が開いた。
「何してる、(みお)
「お兄ちゃん……。何って、……見ての通りだよ?莉彩(りさ)さんを排除しようと思って」
 入って来たのは、(せん)さんだった。
「排除……?何勝手なことやってるんだよ。……秋野(あきの)も」
「だ、だって、"花"を持たない無能令嬢なんて、いらないでしょ?足手纏いになるだけじゃん」
 怖かった。
 (せん)さんは、怒っていた。
「勝手なことをするんじゃない。莉彩(りさ)は、足手纏いでもなんでもない」
「でも、"花"を持たない女性って、出来損ないじゃん!底辺以下だよ?なんでそんな人を……」
「……俺は、莉彩(りさ)が好きだ」
 (せん)さんは、強い口調でそう言った。
「す、好きって……」
「俺と話した時、微笑んでくれた。その時、綺麗だと思ったんだ、すごく」
 (せん)さんと話したことなんて、数えるくらいしかない。
「……俺と同じように、苦しい思いをしてきて、同情が嫌いで……。惹かれたんだ、莉彩(りさ)に」
 (みお)さんは絶句している。
 芽以(めい)さんは、ずっと顔を伏せている。
「……お前は、もう柳瀬(やなせ)に来るな。結婚相手はすぐに見つけてやる」
「待ってよ、お兄ちゃん……」
秋野(あきの)も、解雇する」
「はい…………」
 芽以(めい)さんは、運命を受け入れているようだ。
 正直、ショックだった。
 唯一、信じられるかも、と思っていた使用人だったのに……。
莉彩(りさ)。帰るぞ」
「は、はい……」
「立てるか?」